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November 03, 2005

『サマリア』

 

 女子高生のチェヨンは旅行のために援助交際をしている。親友のヨジンはそんなチェヨンに嫌悪感を抱きつつも、連絡を取ったり見張りとチェヨンに協力している。あるとき、警察に追い詰められたチェヨンはヨジンの目の前でホテルから飛び降り死んでしまう。自分のせいで親友が死んだ…そんな想いを持ったままヨジンは……。そしてヨジンの父・ヨンギはヨジンの行動に気づき……。

 あらすじを知ったときから観たかった作品。自分の目の前で親友が死んでしまうという悲劇に一人の少女が耐えられるわけがないという気持ちで観たのだが、やはり物語は悲しい方向へと進んでいく。

 まず、チェヨンとヨジン。普通の高校生。チェヨンはヨジンに「あなたがいないと何もできないの」と言う。いつも笑っているチェヨンは少女らしい顔立ちだが成熟した女性のような顔も見せる。ヨジンはチェヨンよりも十代っぽい。チェヨンの売春相手の大人たちを激しく軽蔑している。二人の仲の良さは観ていて楽しい気持ちになるが切なくもなる。チェヨンが死んだあとヨジンがとる行動が悲しい。どうしてそうなるの……という思いでいっぱいだ。チェヨンは何でもわかってるって顔をして微笑んでいるように見えたけれど、実は何も見えていなかったことを売春という行為によって感じずにはいられない。
 ヨジンが死んだチェヨンのためにすること。どうしても考えられないけれど、画面はヨジンの姿をインドの伝説の娼婦・バスミルダのように写していく。ヨジンがきれいに現れるほど悲しい。誰かの、死んでしまった親友のために何かをする。切なく尊い想いだからこそ純粋に綺麗な姿でヨジンが撮られているのだろう。その手段や方法は論外だとしても。
 そして、父ヨンギ。ヨンギは本当に優しい父親だ。ヨジンを朝起こす時、そっとヘッドフォンかけ優しく声をかける。娘と父、二人の生活。ヨンギは娘をとてもとても愛していたのだ。何もかも知ってしまったヨンギはこちらが思わぬ行動にでる。気持ち的には、父親だったらきっと誰しもありうることなのだろう。本当に悲しすぎる。
 ヨンギは娘ヨジンとの旅で決意する。そのとき、ヨジンがみる夢が寂しい。父親に殺されて土に埋められる夢。とてもきれいなヨジンがそこにはいる。
 娘のヨジンは父親のことを何も知らない。でも、どこかで気づいていたのだろうか。そんな風に感じる場面もあった。ヨジンが全てを知ったとき、どうなるのだろう。

 おそろしく時間がかかり感想が書きにくい作品だった。これを観れば援助交際がなくなるとは思わないが、人間の良心を問う映画だった。とにかく、オススメです。

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Comments

実はこの映画興味がありました。
観た方が周りに居なくてどうなんだろうと思っていたのですが。
大変参考になりました!
DVD借りてみようかと思います。

Posted by: 桜井 | November 11, 2005 at 09:29 AM

桜井さん、痛く衝撃的な映画でした。
いろんな出来事がきれいに表現されていますが
それがよけいに考えさせられました。
桜井さんは好きかもしれません。なんとなく。

Posted by: りりこ | November 11, 2005 at 10:14 PM

 りりこさん TBありがとうございます。
 この作品は自分のブログでかなり痛切に批判したのでどんな反応が返って来るか正直不安がありました。
 もっと控えめな書き方をしようと思えば出来ました。でも、自分の思っていることを自由に発言できてこそ健全なネットワーク環境なのだと思います。自己規制してしまうようなことはしたくありませんでした。
 そんな時に頂いた最初のTBです。りりこさんの評価は、登場人物の行動に疑問はあるけれども作者なりに人間の良心を問うた優れた作品だというものだと思います。恐らくこれは多くの人が持つ感想に近いのではないでしょうか。作品の持つ力に魅了されつつも、ヨジンたちやヨンギはなぜあのような行動をとったのか、あまりに悲しすぎる結末ではないか、多くの人がそう思ったのだろうと思います。誰にとってもいろいろと考えさせられる作品だということなのでしょうね。
 長々と書いてしまい、失礼いたしました。TBいただいたこと本当に感謝しております。

Posted by: ゴブリン | November 11, 2005 at 11:59 PM

ゴブリンさん、たしかに否定的な意見ってちょっと書きづらいものがあります。特にネットワークが形成されてくると、初めは自由で始めたブログが気がつけば、こんなこと書けないなーとか気にしちゃって。でも私もこれ面白くなかったと正直に書くようにしています。
ゴブリンさんの記事は痛烈な批判だったんですか。。。ソドクの作品が初めてだったので、ゴブリンさんの解説が面白かったです。
「サマリア」と同じような感想を抱いたのが「隣人13号」です。もっと暴力的でやるせない気持ちになるのだけど、映画として完成されてると思いました。ゴブリンさんにはオススメできませんが、また批判して欲しい気もします・・・♡

Posted by: りりこ | November 12, 2005 at 10:41 PM

読みかえしたら、はーとが気持ち悪いですね。
すみません(-_-;) 

Posted by: りりこ | November 12, 2005 at 10:48 PM

TBありがとうございます。ギドク監督の作品はいつも寓意的で、人間の本質或いは根源的な欲望や情念の部分に肉迫するものが多いですね。アプローチの方向性が極端な傾向にはあるので賛否あるのも解りますよw。自分も未だ理解できていないように思います。
この作品は宗教的なメタファーが非常に多いですが、にも関らず現代の感覚と乖離せずに社会問題とも対峙する姿勢が見えたのが印象的だったです。
また宜しくお願いします。

Posted by: lin | December 05, 2005 at 07:51 AM

linさん、コメントありがとうございます。
少女が主人公の話…だと思っていたから
父親が前面に出てくる章に驚きつつ痛みを感じました。
友人でも恋人でもなくて父親が…ってところに改めて家族、父親の在り方を考えさせられました。

Posted by: りりこ | December 05, 2005 at 11:08 AM

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Tracked on December 05, 2005 at 07:41 AM

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